ROSAちゃんのCeVIO AIトーククラファンに投資したいけどもどかしい話(辛口)

 

あいさつ、記事の概要

みなさんこんにちは、こんばんは。浜野実です。
最近私はMOSのExcel2016Expertに合格したのに浮かれていますが、ちゃんとWordも勉強しています。試験はもうしばらく先になりそうですが、Excelよりは見てわかりやすいように感じています。この勢いを保ちながら簡単に行けちゃうんじゃないかなー、なんて思いつつも、気を引き締めて頑張ります。
そんな今日は人によってはモヤモヤしてしまうお話です(ごめんなさい…)。
あるクラウドファンディングを紹介しつつ、それなのにそのクラウドファンディングにケチをつけながら改善案を提言するという、タチの悪いツンデレみたいなお話になります。お付き合いくだされば幸いです。 

前置き:音声合成ソフトって

みなさんは「音声合成ソフト」についてご存知ですか?
ボーカロイド?」「わかった!ゆっくり!」などなど、色々出てくると思いますが、最近台頭してきたソフト群があります。それが

  • A.I. VOICE(えーあいぼいす。喋り声合成)
  • CeVIO AI(ちぇびおえーあい。喋り、歌声合成。ライブラリによります)
  • Synthesizer V(しんせさいざーぶい。歌声合成)

です。
特に、CeVIO AIとSynthesizer Vでは深層学習を使った音声合成をウリにしていて、旧世代版とは一線を画すような自然な声を作ってくれます。A.I. VOICEはAIは使っていないものの、豊富なデータと確かな品質のエンジンでかなり自然な話し声を作ってくれます(※発売元のエーアイ社はVOICEROIDのエンジン部分を開発している会社です)。
どれも最近新しいライブラリ(声)が立て続けに出ていますので、追うなら今、という感じです。
私は

A.I. VOICEは「伊織弓鶴」、
CeVIO AIは「小春六花」(トーク)と「OИE TALK -ARIA ON THE PLANETES-」(トーク)、
Synthesizer Vは「小春六花」(スタンダード/AI版、ソングはこちらで出てます)、「Saki」(スタンダード/AI版)
を所有しています。

悲しい話ですが、これらは全部無職になってから買った分です(離職前に買ったのは全てCeVIO CS7の音源)。その割には結構買ってますね。そりゃお金がなくなるわけですが、それだけ魅力的であるとも言えます。実際、買って後悔したことは全くありません。

ROSAクラファンのすごくかいつまんだ概要

さて、そんな次世代型音声合成ライブラリですが、今、あるクラウドファンディングが行われています。
CeVIO AIトークで喋り、Synthesizer V AIで歌うライブラリを作る、それも最終的には日本語と英語の両方のライブラリを作る、という大きなプロジェクトです。
今回作られる子の名前は「ROSA(ロサ)」。明るくてやんちゃな15歳、高校1年生の女の子なのだそうです。

「中の人」も公表されていて、「しらゆき」さんという、元声優、今は女優志望、コスプレにも精通しているサブカルをいい意味で凝縮したような経歴の方が務めるそうです。
今は第一弾の「日本語版CeVIO AI トークライブラリを作るプロジェクト」が行われています(2021/06/30まで。)

greenfunding.jp

最近公式のTwitterが開設され、ROSAが本当に運営しているかのような奔放なコミュニケーションを展開しています。応援の言葉にも、ネガティブな意見にも積極的に反応します。
そんな中”彼女”には悪いのですが、少し辛口な懸念点(というか、モヤモヤしているところ)をお話してみたいなというのがこの記事の趣旨です。

私の感じた懸念点

①:リターンの額が極端では?


今回のクラファンでは、最低金額のプランで500円のものが用意されています。これは気軽に投資できるクラファンの定番的なものに見えます。
問題はその先。その次が5,000円。桁がひとつ増えてしまいます。そしてその次が30,000円で、60,000円、200,000円と続いていきます。

正直、どうなるかわからない新規音源に、まだいくらなんでもこれは高過ぎる。価格設定が極端です。
500円と5,000円の間、例えば1,500円、3,000円くらいの何かがあれば、「よく知らないけどこのくらいまでなら出せるかな」という「よく知らないけど気にはなっている積極的な新規層」をもっと取り込めたのではないかと思います。公式Twitterのフォロワー数に対して支援者数が少ない(少なすぎる)のは、このあたりも関係しているのではないかと邪推してしまいました。

「500円でもたくさん支援が来ればチリツモでなんとかなるだろう」という考え方もできるかもしれません。しかし、500円の次に5,000円を配置した時点で、なんとなくプロジェクトを支援する上でハードルを置いてしまったように見えて仕方がないのです。

それはすごく勿体ないことですが、クラファンというのは「前までの支援者にとって不利になるリターンを途中から追加してはいけない」という決まりがあるので(少なくともCAMPFIREはそうでした)(06/13追記、要訂正)、もうどうにもできない問題なのかもしれません。どうこう言ってももう遅く、このまま突っ走るしかないのでしょう。この点は次回あるであろう、多分Synthesizer V AIライブラリと思われるプロジェクトの際に改善していただきたいところです。

 

②蔓延する「内輪感」

前提:ボーカロイド「CUL」

このクラファンでは、「CUL(カル)の妹ROSA」という表現がよく出てきます。しかし、私はCULを全く知りません。そこで軽く調べてみました。簡単にまとめるとこうです。

VOCALOID3の「CUL」は、2011年12月にインターネット社より発売された女声ライブラリで、テレビ番組の企画で誕生し、中の人は喜多村英梨さん。プロデューサーはヒロトPで、それはROSAと共通。

本文に戻ります。


つまり、このROSAプロジェクトは、元々10年も前のプロジェクトの、言わば「続編」という前提があるわけです。
それは元々のプロジェクトを知っている人には大歓喜の案件でしょう。そりゃそうです、10年の時を経て新しいキャラ、それもかわいい末妹が出てくるんですから。こんなに幸せなことはないでしょう。

しかし、私のようなその前提をよく知らない新規の合成音声ファンの人間には、運営には申し訳ないと思いつつもいまいちピンと来ない。その「知っている人たち」の歓喜は投資、支援につながると思うけれど、その歓喜、熱気を私は共有することができない。だからついていけずに、「古参の詳しい人が支援してるし別に支援しなくてもいいか」と思ってしまうというわけです。そしてこれは推測に過ぎないですが、この感じでは私のような「よく分からなくて離れる人」の方が支援者よりもかなり上回っていないか?と思ってしまうのです。

今必要なのは、「CULの妹」でプッシュするよりも、「CeVIO AIの新規音源」としてプッシュすることだと思います。「CULというお姉ちゃんがいる」という設定、関係性は、確かにROSAという女の子を愛する、解釈していく上で貴重な情報であると思います。しかし、今CeVIO AIやSynthesizer Vの音源を集めている若い合成音声ファンにとっては、「支援次第でCeVIO AIの音源が増える!」と言われたほうが響くと思うのです。

 

また、正直中の人の推し方もさらに「内輪感」を加速させてしまっている気がします。しらゆきさんは確かに実績があってお芝居もコスプレもできて本当にマルチに活躍してきた素晴らしくて本当に面白そうな方なのですが(バー行ってみたいです)、最初にその情報量で来られてしまったので「これは中の方が好きな人向けなのかな…」と私は一度尻込みしてしまいました。

確かに、しらゆきさんのファン向けのリターンも最初から用意されていました。ですからそれは織り込み済みなのでしょう。でもその辺りから、

音声合成ソフトに声を与える」

というゴールから少し離れたような気がしていて、

総合して、結局、
「前のプロジェクトの続編が気になる人」

「しらゆきさんのファン」
にしか情報が届いておらず、

本命であろう
「新しい合成音声を期待している人」
に情報が届いていない印象を受けます。そして、そのせいで貴重な音源が立ち消えになりそうになっている。これは由々しき事態です。

おわりに


統計を取っていませんから断言なぞできないものの、こういう違和感を持っている合成音声ファンがいることもご理解いただけたら幸いです。
キツい言い方になってしまいますが、新規音源としてオープンにやるのか、内輪ネタとしてやるのか、はっきりして欲しいです。

それでも、私は全てのプロジェクトの成功を祈っています。成功してほしいからこそ、言いたいことがたくさんあって、たまらずこのエントリを書いてしまいました。気分を害された方もいらっしゃるかもしれません。本当にごめんなさい。

長くなりましたが、ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。

思うところはありますが、新しいライブラリが増えることは大いに歓迎したいと思うので、500円は支援しようと思います。

それでは。

 

2021/06/12追記:

この投稿に予想以上の反響をいただき、正直とても驚いています。公式にもリーチしたようです。「これを読んで公式がどう動くか?」なんて偉そうなことは書けないですが、今は少しほっとしたような、そして悲しいような、そんな気持ちでいます。

もう一つ。書いておきたいことがあります。私が記事内で結果的に「CULなんて知らないよ」というようなことを書いてしまい、気分を害された方がたくさんいらっしゃるかと思います。大変申し訳ございませんでした。

言い訳がましいですが、私が「合成音声は面白いぞ!」ということを知ったのは2013年にCeVIO Creative Studioの無料版が公開された時で、私は高校2年生でした。お金もなく、回線やパソコンのスペックも低く動画すら流せないような絶望的な状況の中、CeVIOの、それも体験版の「さとうささら」だけで何年もの間ひとりで楽しんできました。喋らせて一人芝居をさせてみたり、歌わせて父親の趣味のバンドのボーカルに突っ込んだり。それは期限付になる直前までそのままでした。VOCALOIDなどのソングライブラリに私がやたら疎いのも、この「空白期間」が影響していることは否めません。ささらしか知らない期間が長すぎました。

その後、大学に入ってまともなパソコンを買い、そして(今は体調不良で離職していますが)一応一度社会人になり、自分でも音源を買ったり使ったりすることができるようになってから、いわゆる「合成音声界隈」というファンダムを知りました。ただ、それがこの2年くらいの話です。その中で少しずつキャラクターや声を覚えてきたつもりではありましたが、知識が浅すぎました。想像以上に様々なもの、関係性を見落としていたようです。「CULを知らないのが当然」と受け取られるような表現をしてしまい、本当にすみませんでした。この一件で学び直し、まず「インタネ組」という概念を知りました。そしてCULの声の味わいも知りました。そして、この界隈の広さやつながりを改めて思い知らされました。ここはなんて美しく深い沼なのでしょう。

そしてそのうえで改めて思いました。やっぱり、ROSAにもここに生き残ってもらいたいと。

クラファンの残り日数は18日。渋い数字ではありますが、なんとか円満に終了を迎えることができるよう、公式の動きを見つつ、もし何かお金以外でできるものがあるなら、できる範囲でやってみようかなと考えています。

追記のくせにやたら長くなってしまってごめんなさい。

とりあえず、それでは。

 

20210613追記:"クラファンの決まり?"について(お詫び)

 

この投稿は半ばフィーリングで書いてしまったのもあり、不正確な部分が残ってしまっていました。それはリターンの額について指摘した段落の中のここです。

クラファンというのは「前までの支援者にとって不利になるリターンを途中から追加してはいけない」という決まりがあるので(少なくともCAMPFIREはそうでした)

これは前職でCAMPFIREのプロジェクトの立ち上げ、文章投稿、リターン設定に関わるという経験をしたために、その当時の記憶をそのまま使って書いてしまったものになります。実はそのプロジェクトでも途中でリターンを(ストレッチゴールではなくリターンとして、具体的には「リターン品への名入れオプション追加」というもの)追加しようとしたのですが、許可されなかったのです。その理由が、太字にした部分でした。

しかし、これはあくまでもCAMPFIREでの話、それも昨年のCAMPFIREの話です。今は違うかもしれませんし、そもそも、ROSAプロジェクトが行われているのはCAMPFIREではありません。GREEN FUNDING内の「SSSファンド」です。ですので、SSSファンドの決まりについて書く必要のある部分でした。軽率な判断で不正確な情報を発信してしまい大変失礼いたしました。

ただ、実際そのSSSファンドでリターン追加や変更が許されるのかどうかなどは、サイトを見る限りでは支援者には見えないようになっていて、訂正することができません。そのため、暫定措置として該当箇所に打消し線を引いておきます。

 

私個人の希望としては、リターンのバリエーションを増やして、もう少し応援のしやすいものになってほしいと思っています。確かに、今回ソフトとしてのリターンがライブラリのみ(=エディタなし)ということから、全体としてCeVIO AIのトークエディタをすでに持っている「玄人」向けのリターン設定だったことが窺えます。その意図は理解できないわけではありません。CeVIO AIのエディタはCS時代に比べ高価になったので、いちいちエディタ付きになってしまうとそこそこ大きな損をしてしまうからです。それでも、「新規音源」「新規キャラ」を出すならば、このROSAという子を知ってこの界隈に入ってきた新規層向けのリターン、それも、少し頑張れば手が届くような額のリターンを用意しても良いのではないかなと思います。グッズを減らした代わりにエディタを付けた30,000円コースなどが想像できますが、全ては運営次第です。

 

このROSAプロジェクトが、少しでもより良い方向に向きますように。